角膜再生上皮シートEPITHELIAL CELL SHEET FOR CORNEAL REGENERATION

ヒトの角膜の上皮と呼ばれる部分のさまざまな疾患を治療することを目的として研究開発を行っている再生医療医薬品パイプラインです。現在、「角膜上皮幹細胞疲弊症」を適応症とし、事業化準備を推進しております。

製品のコンセプト及び特長

ヒトの目の一部である角膜は大きく分けて上皮、実質、内皮の3つの部分から構成されています。このうちの角膜上皮には新陳代謝を司る幹細胞()が存在していますが、自己免疫疾患や火傷など様々な原因でこの幹細胞が失われると眼表面の角膜上皮の再生が困難となり、やがて角膜上皮が欠損している部分を中心に眼表面全体が結膜組織や血管組織で覆われて視覚障害やその他の様々な障害が起こります。このような疾患を総称して角膜上皮幹細胞疲弊症と呼びます。これまで角膜上皮幹細胞疲弊症に対して様々な治療法が試みられてきておりますが、未だに有効な治療方法が確立されていません。

角膜再生上皮シートは、角膜上皮幹細胞疲弊症など様々な角膜上皮疾患を治療するための再生医療医薬品として研究開発が行われております。患者から採取した口腔粘膜上皮細胞(角膜上皮に良く似た性質を有する)を原料として温度応答性細胞培養器材にて作製した細胞シートを患者の患部に移植して治療するというコンセプトに基づいています。その主な特長として、以下4点が挙げられます。

1つ目の特長は、自家細胞を製品の主原料としているため、免疫拒絶反応が起こる可能性が極めて低いとされることです。(患者以外のヒトから採取した細胞は患者にとって異物にあたるため、免疫拒絶される可能性があります。)

2つ目は、細胞シート再生医療医薬品に共通の特長ですが、移植した製品が縫合なしで生着することです。これにより、縫合実施者の技術熟練度に起因する問題(例:製品が歪んだ状態で縫合されてしまう)や縫合後の瘢痕による角膜上皮の白濁を避けることができ、さらに縫合に要する時間だけ手術時間を短縮できることから患者と医師の双方の負担が減ります。

3つ目は、製品に患者自身から採取した細胞(自家細胞)以外の生体由来材料(例:患者以外の羊膜や血液製剤)を含まないため、これらの生体由来材料に関する安全性リスク(例:これらの生体由来材料に含まれる未知のウイルスに感染するリスク)が極めて低いとされることです。

4つ目は、患者自身の口腔粘膜上皮細胞を主原料としているため、両眼が罹患している患者も治療し得ることです。(角膜から採取した幹細胞を原料とする場合、片方の眼が細胞採取に耐え得る程度に健康である必要があるため、両眼性疾患を治療することが難しくなります。)

幹細胞 :細胞の元となり得る細胞で、様々な細胞に分化し得る能力と細胞分裂を経てもなお分化し得る能力を併せ持つ細胞。